約 3,634,178 件
https://w.atwiki.jp/otcgwiki/pages/56.html
主に火山周辺に生息する力の種族。 種族は【獣人】【レックス】【ドラゴン】【ビースト】 知識は弱く力に特化し、孵化や成長は他のグループより比較的早い。 巨大なものは単体で、小型なものは集団で獲物を襲う。リーダーに対する忠誠心は高く、倒れればその身を主に捧げる。 数が多く勢力が強いため、小規模の軍隊は一晩にして壊滅し土地は荒れ果てる。 -8- ガイアクラッシュ・ドラグーン -7- 暴火竜メルトドラグーン -5- ヴァルガレックス 砲撃壁竜メガロウォール -4- ガーディアン スキルマジック 竜王の咆哮 -3- ガーディアン 叫竜ジャキロス グレンドラゴン 灼熱の拳闘士 スキルマジック メテオストライク -2- ガーディアン 炎の拳闘士 バルダドラゴン スキルマジック バーサークブレイブ 火山地帯 -1- ガーディアン リトルリザード 紅狐
https://w.atwiki.jp/quatropiliastro/pages/98.html
聖杯戦争 万能の願望器をめぐり、選ばれたマスターとそのサーヴァントたちが最後の一人となるまで争う儀式 どうしてそんなものに自分が選ばれたのか、吉良吉影は分からなかった。 日本の東北地方、杜王町の住人である、ごく平凡なサラリーマン。 年齢33歳。 中肉中背、決して人目を引く風貌ではない。 自宅は杜王町東北部の別荘地帯にあり、結婚はしていない。 仕事は『カメユーチェーン店』の会社員で、毎日遅くとも夜8時までには帰宅する。 『心の平穏』 それこそ彼の最も重視する価値観である。 出世したい、金が欲しい、威張りたい…。勝ち負け、だの、刺激的な事件、だの、そんなのはテレビのドラマか映画の中の連中にでもやらせておけば良い、と、常々そう思っている。 ただ日々安心して過ごし、悩みもなくくつろいで熟睡できること。 それこそが、彼の求める『植物のように穏やかな人生』である。 漠然とした違和感から、自分が杜王町ではなく、見知らぬ都市で日常を送らされていたことに気がつき、そして令呪とやらが右手に宿った。 あくまでも平穏を望む吉良にとって、まさにこの聖杯戦争は『平穏』を乱す要因であった。 確かに、何でも願いを叶えられるという聖杯とやらに、興味がないと言えば嘘になる。それに願えば、自分の『性(サガ)』を許容した上で、より平穏を謳歌できるようになるかもしれない。だが、闘争とは平穏ともっともほど遠い行為でもあるのだ。 そして、吉良は聖杯を疑っていた。いや、もっと言えば、聖杯戦争そのものを疑問視してもいた。 頭に刷り込まれた筈の知識によると、サーヴァントとやらが割り当てられるはずだ。だが、彼の前にはサーヴァントどころか誰も現れなかった。 えもすれば新手のスタンド使いによる攻撃かとも思ったが、これほど大がかりにかつ無意味な芝居を打つ必要性が思い浮かばない。 自分のサガを知っている人間の仕業も思い浮かんだが、それを知っているのはこの吉良吉影ただ一人だということは確かだった。 何にしても、マスターとして覚醒した上で、彼のもとにサーヴァントが現れなかったのは事実であった。 記憶を取り戻した当日も、その翌日も、明後日も、何も変わらない日常が続く。 ただ、その日から何かが変わったのは確かだった。 まず、音が聞こえるようになった。 キシリ、キキー、という、金属の擦れるような細い音を、ふと耳にするのだ。夜中にふと目を覚ました時、壁の向こうから聞こえることがあった。浴室でシャワーを止めた瞬間、換気扇から洩れる微かな音に気づくこともあった。 錯覚かと思い耳を澄ましていると、大抵はすぐに聞こえなくなってしまう。 そんなことが二、三日に一度の頻度で起きて二週間ほど経った頃、吉良はあれと遭遇したのだった。 同僚からの飲み会を断り、そうそうと帰宅し自宅まで一人で歩いていたときの事だった。 地方都市にしても珍しく、その夜は何故か不気味なほど人通りが少なかった。 それを妙だと思いつつ、かえって人目もなく落ち着くぐらいだとと受け流し、帰路につく。 交差点で立ち止まり、目の前を車が駆け抜けた。エンジン音が遠ざかった後に、不意に背後からあの音が現れたのだ。 キキュ…… キシリ…… その響きは錯覚と決めつけるにははっきりし過ぎていた。金属が擦れるような音の発信源は、吉良に近づきも離れもせず、その場に留まっているようだった。 (まただ……何なんだ一体っ) 吉良はそのまま交差点を渡ってしまおうかとも思ったが、奇妙な音への好奇心が勝った。 そっと振り向くと、十メートルほど離れて大きな鳥籠を提げた男が立っていた。 街灯の淡い光を正面に浴びて立つ、男の身長は2メートル近くあった。黒い帽子はシルクハットに似ているが鍔がやたら大きく、端の方は少し垂れ下がっていた。 鍔の陰になって顔が見えない。黒いマントは空気を抱くように膨らみを保ち、ザラザラして見えた表面は黒い羽根をまんべんなく縫いつけているのだった。 烏の羽根だろうか。男の服は派手な赤や黄や青、緑の布きれをモザイク状に繋ぎ合わせたもので、吉良は一瞬ピエロかと思った。 白い手袋を嵌めた指は常人よりも細長い。その左手は丈一メートルを超える大型の鳥籠を吊っている。銅か錆びた鉄か、暗い茶色の格子は頑丈そうだ。 キシリ、キキ、という金属の細い軋みは、鳥籠が揺れる際に吊り手とのジョイント部が擦れる音だった。 その猿でも飼えそうな鳥籠の中に、一人の少年が閉じ込められていた。小学校高学年か中学生だろう。白いタオル地のパジャマに素足だ。 吉良は目を見開いた。それは男に驚いたこともあるが、何よりその膝を抱えた少年の指は数が足りなかったからだ。 右手の薬指と小指、左手の人差し指が付け根からない。元々ではなく、断面には血がこびりついていた。改めて見ると足の指も五本ほどしか残っていない。 少年の顔は青白く、瞬きしない瞳は虚ろに濁っていた。どうして閉じ込められているか、鳥籠の中で何を思うのか、気になった 少年の目はまっすぐ吉良の方を向いていた。 男の右手は、大きな剪定鋏を握っていた。柄の間にバネの入った全金属製で、半円を描く切り刃とその受け刃は十五センチほどの長さがあった。良く手入れされた刃は街灯の光を鋭く反射している。 男の右手が、動き出した。柄を握る力が緩められ、ショキ、と、鋏が開いた。僅かな欠けもない、輝く刃。 男は左腕を動かし、鳥籠を自分の目の前に差し上げた。マントが揺れた。右手の剪定鋏を鳥籠に近づける。半ば開いた刃先を中の少年に向けた。少年の、左手の辺りに。 少年が虚ろな表情のまま、左手を開いて格子の隙間から指を出した。人差し指のない四本の指を。 吉良は、目を逸らすことが出来なかった。 男が、剪定鋏を丁寧に動かして、少年の左手中指を、根元から、切断した。鳥肌が立つような、骨の切れる嫌な音が響いた。 落ちた指が地面にぶつかる前に、剪定鋏を持った男の右手が受け止めていた。他の指もそうやって切られたのだろう、切断面から鮮血がドロリと溢れ出す。鳥籠の少年は声を洩らすこともなく、青白い顔を少しずつ、スローモーションのように苦悶へと歪めていった。濁った瞳で吉良を見据えながら。 男が、摘まんだ少年の指を自分の顔に近づけた。大きな帽子が上を向き、街灯の光が差し込んで男の顔が見えた。 顔の上半分は金属の仮面で覆われていた。凹凸は殆どなく、両目の部分に丸い穴が二つ開いているだけだ。 下半分……男の露出した生身部分はそこだけだったが、細く尖った顎は極端に長く、薄い唇は両端が吊り上がって大きなV字を作っていた。人間離れした顔立ちだった。 剪定鋏と少年の指を持った右手を顔の上に捧げ、男は指を離した。開いた口の中に少年の中指が落ちた。 コリ、コリリ、ゴリ、グジ、と、顎の動きに合わせて不気味な音が続いた。男は、少年の指を食べているのだった。 動作の段階でまさかと予想してはいたが、吉良は身震いした。 狂っている。自分が言うのもなんだが、と吉良は思った。 指を食べ終えた男が、吉良と正面に向き直った。仮面は鍔に隠れたが、吉良は男が自分を見つめているような気がした。 鳥籠の少年も無表情に戻っていた。血の流れる切断面を押さえながらも少年は膝を抱えた。少年は黙っていた。助けを諦めているのかも知れない。 「……なんだ、お前は」 吉良は問いかけた。同時に、彼の体から半身とも言うべきスタンドが現れる。しかし、それは無駄に終わった。 鳥籠と男が、唐突に消えた。そこには街灯に照らされた暗い地面だけが残っていた。 「……何だったんだ」 ツゥー、と額から冷や汗を流れる。 明らかにあれは、普通のものではなかった。日常の、平穏の、そして正気の外にあるものだ。 吉良はしばらく立ち尽くしていたが、ふと信号が青になっていることに気がつき、あわてて交差点をわたった。 なぜだか無性に、家に帰りたかった。 気がついていないのかそれともあえて気づかないふりをしているのか。 あの男の吉良への視線は、吉良が『彼女』へと向けるものと同一のものだった。 結論から言えば、あの鳥籠の男ーーバーサーカーは吉良のサーヴァントだ。 吉良自身は知らぬことだが、彼はこの数日間、確かに吉良の側に居た。 そして、今も背後からじっとついてきていることに、吉良は気づけなかった。 【クラス】 バーサーカー 【真名】 指食い@指喰いと腐れ風神 【属性】 混沌・狂 【パラメーター】 筋力B 敏捷B 耐久B 魔力C 幸運C 宝具C+ 【クラススキル】 狂化 B 全パラメーターを1ランクアップさせる代わりに言語能力及び理性の大半は失われている しかしバーサーカーは、マスターの『手』に触れようとした相手を優先的に襲う 【保有スキル】 気配遮断(偽) A バーサーカーは存在の次元がズレているため、実態化を保った上で見える時と見えないとき、物理的に関われる時と関われない時がある 怪物としての本能か、バーサーカーは理性を失った状態でもある程度は自分の意思で姿を消しているようだ 戦闘続行 A 往生際が悪い。 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。 単独行動(偽) A 『鳥籠』がその役割を果たしている時、バーサーカーはマスター不在でも最大20日間行動できる。 【宝具】 『指切り鋏』 ランク D 種別 対人宝具 レンジ - 最大補足 20 バーサーカーの所持する剪定鋏。その刃はよく手入れされていて、鋭く肉を断つ。 『鳥籠』 ランク D+ 種別 対人宝具 レンジ - 最大補足 1 バーサーカーが持ち歩いている、丈一メートルを超える大型の鳥籠 バーサーカーは獲物として選んだ人間をこの鳥籠に閉じ込め、一本ずつ指を切りとり、食べる。 籠の中に入れられた人間は心身の活動が低下し、指を切られても血がでなくなる。 1日に1本、鳥籠に入れられた人間の指を食べることで、バーサーカーはマスター不在でも現界を維持できるだけの魔力を補充できる 因みに、籠の出口は約三十センチ四方しかない。どう考えても人間を籠から出すには無理のある構造をしているが、バーサーカーにとってはどうでもいいことなのだろう 【weapon】 『指切り鋏』 『少年』 吉良に姿を表す前にバーサーカーに目をつけられた不運なNPC。指は残り十三本 【サーヴァントとしての願い】 マスターの指を食いたい。 【人物背景】 『指喰い』と呼ばれる怪人。 いつから存在するのか定かではなく、最も古い登場記録は十六世紀のヨーロッパ。 日本での目撃例は明治二十四年からで、開国と同時に西洋人と一緒に渡ってきたらしい。 【名前】 吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険 【マスターとしての願い】 植物のような平穏な生活 【能力・技能】 いわゆる超能力者、スタンド使い。 【weapon】 スタンド能力、「キラークイーン」 【破壊力 - A / スピード - B / 射程距離 - D / 持続力 - B / 精密動作性 - B / 成長性 - A】 ・「第一の爆弾」 キラークイーンの指先で触れた物質や生物を爆弾に変化させる。人差し指の第一関節にスイッチがあり、これを押すことで爆弾に変えたモノは爆発する。 あるいは、スイッチに関係なく他の物体に接触した途端に即爆発する、という設定も可能。 前者はスイッチを押さない限り何をしても爆発せず、後者はスイッチ要らずだがこちらの任意では爆破できない(爆発の条件は接触のみでスイッチを押しても爆発しない)ため誤爆などのリスクがあり一長一短。 また、爆発の種類も「爆弾に変えたモノ自体が爆発し跡形も残らない」「爆弾に触れた対象が爆発し爆弾に変えたモノ自体は残る(ただし一度爆発した時点で爆弾ではなくなる?)」の二種類がある。 これらの性質は対象を爆弾に変えた後には変更できず、一度にひとつのものしか爆弾にすることはできない。 ・「第二の爆弾『シアー・ハート・アタック』」 キラークイーンの左手の甲から射出される爆弾戦車。自動操縦で敵を追尾し、爆破する。 爆炎を放つ、あるいは接触した相手を爆破する、という方法で攻撃を行うため、爆発してもシアーハートアタックが消滅することはなく、残った敵を追い続ける。 さらに非常に頑丈で、パワーも強い。 だが自動操縦であるため単純な行動しかできず、敵を感知する方法も視覚などではなく周囲の熱を感知して温度の高い物体の方へ向かう、というものであるため人間よりも温度の高い物体があるとそちらへ向かってしまう。 また、あくまでもキラークイーンの左手の一部であるため、ダメージや細工をされると吉良の左手にフィードバックする。 第三の爆弾については参加時期的に持っていない。 【人物背景】 S市杜王町に住まう殺人鬼。 女性の綺麗な手首を偏愛しており、自らの嗜好に合う手首を見つけると女性を殺害し、切り取り「恋人」として持ち歩く異常性癖を持つ。 表向きは誰に対しても物腰柔らかで警戒心を与えない、という態度を装っているが、本質的にはプライドが高い。 知能や才能も高く、それに対して自信を持っているが、「平穏な暮らし」のために隠している。
https://w.atwiki.jp/star_grail/pages/105.html
――お前の光は、何処にある ウィリアム・シェイクスピア ◆◆ わたしの家族は、いわゆる見ていて苛つく部類の人間ばかりだ。 度を越して能天気でお人好しな父と、それを窘めもしない母。二人の血を色濃く受け継いだことがちょっと話しただけで解る、同じくお人好しで善性に満ちた姉。 わたしだけが、例外だった。わたしだけが人を疑い、訝り、自分を第一に考えるということを知っていた。何故かは解らない。多分生来のそれであるのだろう。そんなわたしだから、両親や姉の"良い人"ぶりにはいつも辟易させられてきた。どうしてそうなのと、やり場のないやきもきした感情に頭を抱えたことは十や二十では利かない。 けれど、家族が嫌いだったわけじゃない。世間のご多分に漏れず両親への感謝の気持ちと愛情はちゃんとあったし、優しく賢い姉のことはいつだって尊敬していた。この人のようになりたいと、思っては諦める毎日。それを悲観することはなかったが、それでも、自分と姉のあまりの違いに溜息をこぼすことは度々あった。 もしもわたしが、目の前で大好きな姉を殺されたなら。 わたしはきっと、外面を取り繕うことも忘れて怒り狂うだろう。 絶対に殺してやると歯を砕けんばかりに軋らせて、姉の未来を奪った相手に憎しみの炎を燃やす筈だ。 しかし姉は、目の前でわたしが殺されたとしても、悲しみはすれど復讐なんてことは考えないと断言出来る。 姉が冷たい人間なのではない。寧ろその逆。温かすぎるから――優しすぎるから、あの人は自分や自分の周りの誰かを害した人に対しても、悪意を向けられないのだ。ひとえにそこが、わたしと姉の、"お姉ちゃん"の一番の違い。どちらが良い悪いは一概には言えないだろうけど、わたしの主観で言うなら、"良い"のはお姉ちゃんの方だった。 罪を憎み人を憎まず。 それを地で行く、"良い人"。 わたしもそうなりたいと常々思っていたけど、同時になれるわけがないと悟っていた。 そして今――わたしは、そのことを改めて実感している。 「……や、め……やめで、くれぇ……もぅ、許し……」 大の男が涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにして、小便まで漏らしながら許しを請っていた。 三十以上は歳が離れているだろう、自分の娘ほどの年齢であるわたしに対してだ。 最初はあれだけ鼻持ちならない高慢な物言いを繰り返していたのに、やはり人間、死の淵に瀕すると本質が明らかになるものらしい。魔術師の大義だとか何だとか偉そうに言っていても、自分の命が一番可愛いのはわたし達市井の人間と何も変わらないのだ。抉れた両足では前に進むことも出来ず、両腕は変な方向に曲がり、擦り付けた額は擦り剥けてグロテスク。 誰が見ても目を背けるか同情して然るべきだろうそれを、わたしは今、どんな顔で見つめているのだろう。どうしても、解らなかった。でも、推理する材料はある。魔術師は、絶望に満ちた顔でわたしを見ていた。まるで、先の見えない暗闇を前に怯える子どもみたいに。……その顔を見て、わたしは、今自分がどんな顔をしているのかを悟った。 「……冷たい人ね、わたし」 その声が目の前のボロ雑巾に聞こえたのかどうか、わたしには判別がつかない。 けど、一秒前にも増して青くなった顔と震えの激しくなった顎を見るに、多分聞こえてしまったんだろう。 そう。わたしは、冷たい人間だ。お姉ちゃんのようにもお父さんのようにもお母さんのようにもなれない、酷い子だ。 「やりなさい、バーサーカー」 ぐちゅ。 水っぽい音がして、哀れな雑巾が布切れの集まりになった。 端正だった顔は頭から踏み潰されてアスファルトに埋まり、もう人相の確認さえ出来ない。 滑稽な体勢に体を歪めて死後痙攣するそれから目を背けたわたしは、ちゃんと苦虫を噛み潰したみたいな顔を浮かべられているだろうか。見る人も居ないしどうでもいい自己満足だけど、最低限中学生の顔はしておきたい。聖杯戦争の中で変な慣れに足を引っ張られることがないとも限らないのだし。 「お姉ちゃん、あのね。わたし、死ななくてもよくなったのよ」 この世界に来た人には、多分色んな人がいる。 来たくて来た人、来たくなかった人、自分の状況をそもそも理解出来ていない人。 この世界に来て幸福な人も、そうでない人も、当たり前のように両方いるだろう。 わたしは、圧倒的に前者だった。この世界に招かれていなければ、わたしは今頃、死んでいた筈なのだから。 ――ジアース。地球を滅ぼさんと都市に降りては暴れ回る異形の怪物と唯一戦闘を行える、正体不明の巨大ロボット。 あの夏、自然学校に参加した十五人の子ども達が、そのパイロットに選ばれた。 それは地球を救うための戦い。大切なものを守るための、戦い。 自分の命を代金として得る、死ぬことが約束された一度きりの"操縦権"。 わたしこと本田千鶴もまた、そのパイロットに選ばれた人間だ。 つまり、わたしは近い内に死ぬ筈だった。世界を守って、それでおしまい。 十年ちょっとの人生を振り返る暇も与えられずに、機械の電源を落とすみたいに死ぬ。 わたしが拒めば世界が滅び。 世界が救われればわたしが死ぬ。 そんな状況に、ちょっと前まで立たされていたのだ、わたしは。 でも聖杯戦争という横槍が入ったことで、運良くその袋小路を抜け出せた……というのが、わたしが幸運である理由。 「わたしだけじゃない。この子もね、きっと産める」 そう言って、わたしはお腹を撫でる。 まだ張りのようなものはなくて、この中に一人の新しい命があるなんてとても解らない。 でも、確かにわたしの子宮(なか)には今、わたしじゃない誰かの命がある。 わたしの子ども。かわいそうな、呪われた子どもの命が漂っている。 「安心して。わたしはあなたを殺さない」 殺せるわけがない。 誰の子どもか解らないとしても。 欲しくて作った子どもじゃないとしても。 憎くて憎くてたまらない男達の■■で孕まされた、汚れた命だとしても。 わたしにはこの子を堕ろせない。 「一緒に救おう、わたしたちの世界を」 撫でる。 愛おしく、撫でる。 世界はまだ救われていない。 わたしがいない間に、ひょっとすると滅んでいるかもしれない。 それほどの薄氷の上に存在するのが、わたしの暮らしていた地球。この子の生まれてくる地球。 そして――それを救えるのは、全人類で唯一人。本田千鶴という、中学一年生だけなのだ。 「聖杯を手に入れれば、どんな願いも叶うのよね。バーサーカー」 わたしは、自分の剣である狂った男に話を振る。 三メートルに達しかけた巨躯に、深淵のような蒼い瞳。 血腥さと死の気配を振りまく彼は、マスターであるわたしの目から見ても、縁起の欠片もない存在だった。 死神。災害。そんな言葉ばかりが浮かんでくるのは、この聖杯戦争という戦いが殺し合いであることを鑑みると、良いことなのか悪いことなのか。 「――王家に、死を」 閑話休題。 わたしの問いに対して、返ってきたのは答えになっていない回答だった。 「輝くものに終わりを。全ての王に死を。支配に幕を。民に自由を。国に、平和を」 「バーサーカー、聞いているの」 「死を。死を。死を。死を。――死を、死を、死を、死を、死を、死を! 遍く光に理性ある死を齎そう! 百合の散華した荒野こそ、人民の住まうべき楽土であるのだから!!」 駄目ね。わたしは溜息をついて、バーサーカーとの意思疎通を改めて諦める。この流れ自体が、もう何度目か解らない。 わたしの喚んだサーヴァントはこの通り、理性が完全に飛んでしまっている。 たまに会話が成立することもあるが、その逆の方が圧倒的に多い。 人語を解する、但し伝わっているとは言っていない。 そんな、奇妙奇天烈でとにかく厄介なサーヴァント。 でも、強い。 人間は社会という枠組みを作り、法と倫理という規範を整備することで、概ね平和と呼べる世界を作り上げた。 ただ、それも言ってしまえば薄氷だ。ルールだのセオリーだの、そんなものは一人の例外の存在で一気に崩れ去る。 銃やナイフを持った通り魔の凶行で、未だに多くの犠牲が出るように。 システムの整備された世界にそれから乖離したものを混ぜ込めば、強さ弱さ正しさ悪さの観念は途端に意味をなくす。 「――弁舌を回せ、我が右腕。天使長アントワーヌ」 彼は、ひとえにそういうサーヴァント。 神話の王様が強いとか、偉大な支配者が絶対だとか、古いことは偉いとか。 そういう"当たり前"に、真っ向から喧嘩を売った異端者。 或いは、それも含めて"彼らしい"と納得すべきか。 「――恐怖を整備せよ、我が魂。山岳皇ジョルジュ」 巨体の腕から刃が伸びた。わたしの使うナイフなんかとは比べ物にならない、長くて奇妙な形の刃物。 人の首を刈り取ることだけを目的に設計されたみたいな、撓った形状のそれはバーサーカーの腕から生えている。 断頭刃の切っ先は今しがた殺したばかりの魔術師の首へと伸び、それをバターでも切るみたいな滑らかさで切断した。 「コンコルドに人を集めよ! 断頭台を磨き上げよ! 処刑の時は近く、我が革命は未だ途上である! おお、祖国万歳(ヴィヴ・ラ・フランス)! 正しき秩序と正しき自由を求め、我は全ての絢爛を地に落とそう!!」 とにかくそんな奴だから、わたしにもこれが何を考えているのかはよく解らない。 ただ、共感できる部分もあった。それは、このサーヴァントが生前にやったこと。 彼は昔、自分が悪者と断じた人達や、自分に逆らった人達を、次々と見境なく処刑台に送った独裁者だ。 誰でも殺す。いくらでも殺す。――"それが自由の妨げになるなら"、あらゆる情は無視される。 彼はきっと、まだ殺し足りないのだろう。 彼の夢見る革命は、まだ叶っていないのだ。 少なくとも、彼の中では。 そしてわたしも、世界を救う傍らで、人を殺そうとしている。 淡々と、処刑台に追いやってギロチンを落とすみたいに機械的に、復讐の殺人をやろうとしている。 ……それこそ、世界を救うことなんかよりずっと、わたしがジアースを操縦してやりたかったことだ。 大きな、止めようもないレベルの力で、"お腹の子"の父親かもしれない男達を皆殺しにする。 都市を破壊する怪物の矛先が自分一人に向く恐怖を味わいながら、原型も留めない死体に変える。 その過程で他の人が死んだとしても、構わない――どうせわたしも死ぬんだから。 でも、わたしが死ぬことはなくなった。 ――力がない頃は、復讐を諦めていた。 ――力があるけど未来はない頃は、生を諦めていた。 ――今は力もあるし、未来もある。憎い奴らを殺した上で、この子やお姉ちゃんと一緒に生きることが出来る。 バーサーカーはわたしにとってのジアースだ。 彼を操縦すれば、わたしは神様にだってなることが出来る。 「……ごめんなさいね。わたし、やっぱりあなたのことはよく解らない」 「理解など不要。王は悪であり、輝きは民を狂わす毒である。頭に入れるべきはそれだけだ」 ……話が通じた。珍しい。 「でも、ひとつだけ解るかも。あなた、優しいのね。バーサーカー」 「…………」 バーサーカーが押し黙った。 これがおべっかなら大したものだと自分でも思うけど、残念ながらそうではない。 心からの感想だ。だって彼はこんなに物騒なセリフばかり吐いているのに、一度だって欲や不満を口にしたことはない。 彼は独裁者で、国を腐らせた……魔術師の世界で言うところの、反英雄とかいうやつ。 でもその裏には常に民を想い、導かんとする心がある。わたしみたいに、自分のために殺そうとしてるわけじゃない。 「殺したい人がいるの。学校の先生と、その友達何人か。 わたしを騙して、犯して、辱めた奴ら。全員殺したい。でも、世界も救いたい。 お姉ちゃんがいて、お父さんとお母さんがいて、これから死ぬしかない皆が生きてる……わたしたちの地球。 そのために、わたしは聖杯がほしい」 「…………」 「一緒に勝ちましょう、バーサーカー」 暫く黙ったバーサーカーは、やがて厳かに口を開いた。 その時彼の瞳には狂気ならぬ正気の光が確かに見えて、口から出た言葉には理性の片鱗が宿っていた。 「――違う。俺は、優しくなどない」 「バーサーカー?」 「優しさなど統治者には不要だ。冷たい理性と錆び付いた闇で統べなければ、民の眼を奪ってしまう」 ギリ、と彼が歯を噛み締めた音は……まるで、大きな岩をすり潰したみたいに激しいものだった。 王権に死を。光に災いを。陶酔に冷水を。絢爛に没落を。蒼血に天還を。盲信に理性を。 信仰に正気を。民に自由を。国に平穏を。支配に闇を。羨望に嫌悪を。夢想に、現実を。 お経を唱えるみたいにまたぶつぶつと狂気の世界へ入ってしまった彼を、わたしは暫く茫然と見つめていた。 ……この男がわたしに、あんな一面を見せるのは初めてだったからだ。 まるで、忌まわしい記憶でも読み返すみたいな顔と声。らしくない。余りにも、今の姿は狂人のそれから逸していた。 自己に没頭する哲学者。そんな表現が脳裏に浮かんだ。とはいえ、これ以上何かを訊いても藪から蛇を出すだけだろう。 忘れちゃいけない。彼はバーサーカー、ケダモノだ。ジアースのように、物言わず力だけ寄越すわけじゃない。 一歩間違えれば、マスターのわたしだって彼の言う革命の礎にされてしまいかねない。 背筋に寒いものを感じながら、わたしは会話を打ち切ってバーサーカーから視線を外した。 ――けれど。どうしても訊いてみたかったことがあって、危険だと解っていながらもわたしは口を開いてしまう。 「バーサーカー」 バーサーカーは意味ある答えを返さない。 「ねえ」 バーサーカーは意味ある答えを返さない。 「マリー・アントワネットは綺麗だった?」 バーサーカーは意味ある答えを―― 「――ああ、綺麗だったよ」 万感の想いと執念が詰まった声で、絞り出した。 ◆◆ その光を見た時、俺は悟った この世に生まれた意味を。為すべき全てを、理解した 輝きは毒だ。眩しいものは人の心を冒し、貶める 人には誰しも隠したいものがある 見られたくない陰我がある ……あの子は、それを全て詳らかにしてしまう 悪意の有無など関係ない。ヒトが直視するには、あの子は眩しすぎた 故に、全ての王を滅ぼそう。存在するだけで人心を狂わせる光が正義ならば、誰かが是正せねばならぬ ――徳なき恐怖は忌まわしく、恐怖なき徳は無力であるのだから 征こう、アントワーヌ。征こう、ジョルジュ。……征こう、千鶴。我がマスター 今こそ、ヒトに正しい恐怖と庇護を。光なき世界こそ、自由の満つる楽園である 【クラス】バーサーカー 【真名】マクシミリアン・ロベスピエール 【出典】史実 フランス革命 【性別】男性 【身長・体重】290cm、115kg 【属性】中立・善 【ステータス】筋力:A++ 耐久:A++ 敏捷:C 魔力:D 幸運:D 宝具:EX 【クラス別スキル】 狂化:A 筋力と耐久を2ランク、その他のパラメーターを1ランクアップさせるが、理性の全てを奪われる。 ロベスピエールは人語をある程度解するが、彼の信念、行動は如何なる声によっても揺るがせない。 【固有スキル】 対英雄:EX 彼のこのスキルは「対王族」に限定されている。 汎用性に欠けた特化型。それゆえに無二の性能。 彼の場合、特に「王・支配者・それに与する存在に対する殺傷力」を示すものとなっており、格の高い王族が相手であればある程各種ステータスが際限なく上昇、その革命を罷り通らせる。 市井から生まれ出た人間由来の英霊でしかないロベスピエールをどこまでも強靭にさせるスキルのランクは規格外。狂おしき革命王を象徴する権力殺しのスキル。 鋼鉄の決意:A+ 革命を成し遂げ民に自由を齎すという血塗れの決意と行動力がスキルとなったもの。 痛覚の完全遮断、超高速行動にさえ耐えうる超人的な心身などが効果となる。 複合スキルであり、本来は勇猛スキルと冷静沈着スキルの効果も含む。その為、ロベスピエールはバーサーカーでありながら、時に異常なほど聡明な一面を覗かせる。 また、ロベスピエールの場合は前述の二つに加え、同ランクの戦闘続行スキルも含んでいる。 最高存在崇拝:B ロベスピエールは霊魂の不滅を信じながら、人の理性を絶対視しないキリスト教の道徳を迫害し、破壊した。 このことからかの宗派に由来する能力・攻撃に対して一定値の耐性を持つ。 それと同時に、神性スキルを持つサーヴァントへの特攻効果としても機能する。 カリスマ:C 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。 カリスマは稀有な才能で、小国の王としてはCランクで十分と言える。 後述の宝具と組み合わさることで効力をランク以上に増幅させる。 【宝具】 『死は民への福音なり(ヴァントーズ・ラ・ジャコバン)』 ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~15 最大補足:10人 フランス革命の代名詞である処刑具――ギロチン。 ロベスピエールは正義と自由の名の下に、自身に仇成す者を次々と断頭台へと送っていった。 刃状に加工されたギロチンを自身の腕から自在に生やし、戦闘を行う。仮に破壊されても次から次へと刃を生成してのけるその異様な絵面は、さながら彼が祖国で執り行った血の粛清劇のカリカチュアのよう。ボウガンのように射出したり盾のように生じさせたりと応用の幅は広めである。 真名解放時には敵手の頭上からギロチンが生じ、攻性・防性事象及び対象の耐久力を無視した斬撃ダメージを与える。これは彼の革命が不滅の王家を地に落とし、ただの人間として殺生した逸話に由来する性質である。即ち、回避以外に対処の手段が存在しない。また直撃時には即死判定も行われ、幸運値が低ければ低いほど、理不尽な死滅の可能性が高まる。 『永遠なる革命譚は散華する白百合と共に(パンデミック・ギロチニズム)』 ランク:EX 種別:対人民宝具 レンジ:1~600 最大補足:1~3000人 革命期のフランスで民の心に灯った革命の火は、感染爆発(パンデミック)が如く国全体へと拡大した。 フランス革命の主導者であるロベスピエールが持つ第二宝具は、直接的な破壊力を持たず、また彼自身を強化するものでもない。この宝具は謂わば、革命病とでも言うべき人々の狂的な熱意を自身の姿や声、齎した破壊を介して周囲へと拡散させる「対人民宝具」である。 宝具の効果を受けた対象は精神抵抗判定を行い、失敗した場合、形はどうあれ(ロベスピエール以外への)戦意を著しく鼓舞される。それは時に根拠のない自信であり、時に抑え込んだ衝動の爆発であり、時に自己の死亡すら厭わない鋼の覚悟となる。共通しているのは一歩間違えば確実に破滅する状態になるということ。無論、サーヴァントの手綱を引くマスターがこれにあてられればどうなるかは想像に難くない。 加え、国家の絶対者である王家を滅ぼした逸話から、この宝具の効果を受けた全ての存在は全てのステータスが1ランク上昇し、サーヴァントを傷付けられる神秘を効果適用中得ることが出来る。宝具の効果はロベスピエールとの距離が離れれば離れるほど薄れ、近付けば近付くほど濃くなる。 但し、この効果はマスターにだけは通じない。 【weapon】 『死は民への福音なり(ヴァントーズ・ジャコバン)』 【解説】 フランス革命期の政治家にして、史上初のテロリスト。人類史の代表的な革命指導者である。 貧しい家に生まれながらも秀才として喝采を浴びていたロベスピエールは、三十歳の頃に政界へと身を投じる。 この頃は死刑廃止法案を提出したり、犯罪者親族への刑罰を禁止する法案に関わるなど、後の彼からは想像も出来ない活動方針を掲げていた。 ――然しロベスピエールは突如として革命の病に取り憑かれる。左派の論客として頭角を現し、共和主義が勢力をマシた8月10日事件から権勢を強め、遂には国民公会の権力を掌握して恐怖政治を断行するに至る。 その革命は瞬く間にフランス全土を覆い尽くし、王家を駆逐し、次々と尊き血筋の者達や、それをかばう者、自分達の革命に反対する者さえも断頭台へ送った。 殺し、殺し、殺し、殺した。彼の手によってフランスは地獄になった。支配する者もされる者も、平等に怯えるしか無い正真の地獄が具現していた。世論がロベスピエールを狂人であると看做し始めるまでに時間は掛からなかった。やがて彼は反ロベスピエール派の起こしたクーデターによって逮捕され、彼自身も葬ってきた王家の者達と同じようにギロチンの刃で裁かれることになる。 マクシミリアン・ロベスピエール。何が彼を革命の衝動に駆り立てたのかには諸説ある。 だが、その真実は後世には伝わらぬまま闇へと消えた。それを知っていた彼の賛同者のごく一部も、彼と同じくクーデターにて露と消えたのだから無理もない話だろう。 ロベスピエールは虚無的な男だった。泥の味を知り贅沢を知らぬ、独裁思想とは縁の遠い空洞の男であった。 そんな彼がある時目にしたのは――絢爛にして優美。可憐にして秀麗。唯一にして無二。慈母が如き優しさと、紛れもない蒼色血統(ブルーブラッド)の気高さを兼ね備えた、麗しい一人の女の姿。 その顔を、髪を、姿を身なりを声を微笑みを……目視した瞬間、ロベスピエールは悟ってしまったのだ。 ――ああ。こんな存在は、この世にあってはならない。 ――こんな存在を生み出す王家もまた、あってはならない。 だって彼女は余りにも眩しすぎたから。眩しくて、眩しくて、自分の愚かしさが詳らかに暴かれるような錯覚を自然と民に与えてしまう、そういう類の人間だったから。ロベスピエールは当たり前のように彼女と、それを生み出した王家の打倒を掲げ、実行し、成し遂げた。 白百合の王妃マリー・アントワネット。 空洞の男が初めて目を奪われ、憎み、執着し、妬み、嫉み、恐れ、そしてただ一人心の底から恋焦がれた女。 フランス革命という大革命虐殺はひとえに、彼女という光を天へ還す為に行われた、大いなる儀式であった。 【特徴】 蒼白の肌に銀の髪を持つ、三メートル近い長身を持つ異様な男。 深淵のようと称される蒼瞳。常に嗤いながら戦い、光輝なる王に赫怒する狂人。 漆黒のジュストコールを纏い、血で錆び付いた具足を軋ませ歩く。 百人が見れば百人が"不吉"という印象を抱く、死の象徴めいたサーヴァント。 【聖杯にかける願い】 王権打倒――フランスのみならず、人類史に存在する全ての王権を無に還す。 王に死を、光に昇天を、民に自由を世に万年の平穏を! "そんな滅茶苦茶な歴史改竄を押し付けられた人類がどうなるか"など、ロベスピエールは一切斟酌しない。 【マスター】 本田千鶴@ぼくらの 【マスターとしての願い】 聖杯を手に入れ、ジアースに纏わる一連の戦いを消滅させる。 その過程で自分を裏切り辱めた、畑飼守弘を殺す。 【weapon】 ナイフ 【能力・技能】 ジアース(Zearth)と呼ばれる全長500メートルもの巨大ロボットを操縦する"契約"を交わしている。 マッハに達するほどの速度で移動可能な巨大機であるが、操縦の代償としてパイロットは必ず死亡する。 千鶴もひょんなことから死の運命を決定付けられた子どもたちの一人だが、異界である冬木には戦闘へ導く啓示も届かない以上、本企画では基本的に直接関係することのない単なるフレーバー。 【人物背景】 中学一年生。人並み外れてお人好しな三人の家族を持ち、家族の中では唯一現実的な思考回路を有している。 自分の通う中学校の教師である畑飼と性的関係を持つが、裏切られ、彼の友人である好事家達に性的暴行を受けた上でその模様をビデオに撮られるという辱めを受ける。畑飼を殺して自分も死のうと決意したが、その直後に妊娠していることを知り、生まれてくる子どもの為に一度は殺害を諦める。 しかし、ココペリによってジアースのパイロットとさせられたことで未来が消滅、再び畑飼への復讐を決意する。 ある種後がなくなったことで倫理観が飛んでおり、死にたくないと戦いを拒んで暴れる友人を躊躇なく刺殺し、多くの犠牲を出しながら復讐に向けて突き進む冷徹さを有している。 原作の特定エピソード(加古功編、本田千鶴編)のみで把握可能。 一巻とこのタイトルが付いている箇所のみ読めば書けると思われる。 【方針】 バーサーカーを"操縦"して、聖杯戦争に勝つ。人殺しに躊躇いはない。
https://w.atwiki.jp/holycon/pages/42.html
二十世紀は、読書家に優しい時代だった。 個人経営の書店が苦もなく成り立ち、長続きさせられる時代。 電子書籍なんてものは世紀末まで実用化されておらず、されてからも普及には至らなかった。 別に電子書籍という文化を悪いとは思わないが、文香個人としては、紙の本が好きだ。 確かに持ち運びやすさや手軽さの面では、電子書籍が勝つだろう。 それでも文香は、紙の頁を捲る感覚や、古い本特有の枯れた匂いが好きだった。 何も、本だけに限った話じゃない。 昭和の時代は、平成よりも鷺沢文香にとっては住みやすかった。 現代以上に俗な風潮が蔓延している代わりに、現代にあった息苦しさというものがない。 映画や小説の描写から想像するしかなかった『昔』に、今、こうして自分が生きている。 まるで幼い日に憧れた、タイムトラベル小説の主人公。 もうタイトルも忘れてしまった、ずっと昔のSF小説。 主人公の少女はある日、自分が生まれる何十年も前の時代にタイムトラベルしてしまう。 常識や知識の壁に苦労しつつも友人を得て、少女はとうとう自分の成すべきことを理解した。 それから――……どうなったのだったか。 記憶が薄ぼけていて、うまく思い出せない。 思考に没頭しかけた脳を現実に引き戻したのは、午後四時の時報を告げる鳩時計の鳴き声だった。 鷺沢文香は、小説の主人公のように、いきなり過去の世界に放り出されたわけではなかった。 この昭和時代には、あるはずのない鷺沢文香の席がきちんと用意されていたのだ。 冬木市内の某大学、文芸部に通う大学生。 叔父の営む書店の仕事を手伝ったり、本を読んだりして毎日を静かに過ごす文学少女。 友人は多くないし、人と話すのも目を合わせるのも苦手。 ……親切なほど、文香にとって住みやすい環境が再現されていた。 住みやすいだけじゃ駄目だと、私はもう知っているのに。 綺麗なほど、元通りだ。 この時間を生きる文香に、ガラスの靴は届かない。 臆病な少女がシンデレラになり、輝くステージで舞い踊ることもない。 童話の成立しない世界。鷺沢文香という偶像(アイドル)の生まれない世界。 人前で歌うことも、踊ることもない。 苦手なことと向き合うこともしないで済む。 毎日学校に行って、本を読んで、店で座っていれば夜が来て、また次の日になる。 すっかり慣れた、楽な生き方だ。 それでも、文香は思う。 帰りたい。 自分の生まれた、あの二十一世紀に帰りたい。 今の私はもう、人と関わることから目を背けていた頃の弱い自分とは違う。 人に笑顔を与え、自分も笑顔になる。 そんな素敵な世界(ステージ)に、あの日自分は踏み入った。 硝子の靴を通行証代わりに、シンデレラ達のスターライト・ステージへ。 魔法はいつか解けてしまうのかもしれない。 それでも、その『いつか』は遠い未来の話だ。 いつかであって、今じゃない。 この過去で解けてなくなってしまうほど、あの日、あの人にかけてもらった魔法は弱くないから。 だから―――最初から、やるべきことは決まっていた。 「……ああ」 文香はまだ、何も言っていない。 本棚に新書を収める仕事を手伝っているその青年に、念話も送っていない。 なのに彼は――鷺沢文香のサーヴァントは、彼女の顔を見るなり、薄く微笑んだ。 苦笑や失笑ではなかったと思う。 どこか嬉しがっているような、懐かしんでいるような。 一言では語り尽くせない感情が綯い交ぜになった顔をしていた。 ……そういえば、彼は前にも、『聖杯戦争』に参加したことがあると言っていた。 その時のことを彼は語りたがらなかったが……やはり、前のマスターを思い出しているのだろうか。 「君はそう望むんだね、マスター」 文香の瞳は、隠れていない。 彼女は小さく頷いて、口を開いた。 「私は……帰りたい、です」 聖杯を手に入れれば、全てが思うがままになる。 大それた欲望や野心とは縁のない文香だが、彼女の場合欲との葛藤とはまた別な形で、戦いに背を向けることを恐れていた。 聖杯戦争から脱出したいと口で言うのは簡単だ。 しかし、もしも、万が一。そもそも出口なんてものがなかったら? この世界に呼ばれてしまった時点で、聖杯を手に入れる以外、抜け出す手段などないのだとしたら? 文香は聖杯など、別にいらない。だから聖杯戦争に参加する理由なんて、言ってしまえば何もない。 だが、そこに自分の命が掛かるとなったら話は別だ。 生き残りの座席は一つで、正攻法以外に離脱手段はない。 この状況を押し付けられて、迷わずそれでも戦わないと即答できるほど、文香は人間離れした心を持ってはいなかった。 自分の為に戦うか、あくまでも戦わない解決法を探すか。 その葛藤にようやく答えが出た。 こと鷺沢文香という偶像少女に限っては、答えなど、どの道最初から一つだった。 「……帰りたいんです。でも……やっぱり、戦いたくは……ないです」 それは信じるということ。 この昭和のどこかに、未来への扉がある。 そんな確証もない話を信じて、追いかけるということ。 聖杯戦争においてその思考は、まともではない。 聖杯を手に入れる以外の手段を模索する行為には、常に絶望の影が付き纏う。 『そんなものは何処にもない』という、昏い絶望が。 彼女のサーヴァント……バーサーカーは聡明な男だ。 己のマスターが無謀な方へ突き進もうとしていることは、はっきり理解できていた。 「僕は何となく、君ならそういう結論を出すだろうなと思っていたよ」 バーサーカーの適性を持つとは思えないほど、その声は柔らかく、優しい。 バーサーカーは文香を否定しなかった。むしろ、肯定的な感情をすら示していた。 「僕は……君の、鷺沢文香のサーヴァントだ。君がそう願うのなら、僕はそれにきっと応えよう。そして―――」 そこで、店の中へと一際強い風が吹き込んだ。 バーサーカーの声がかき消される。 文香は最後まで、彼がこの時何と言ったのかは分からなかった。 彼は、こう言ったのだ。そして―――今度こそ僕は、自分のマスターを日常へ戻す。 その台詞は、彼が以前参加したという聖杯戦争の顛末を物語っていた。 バーサーカーは、失敗した。 心優しい少年と共に青い夢を描き、破れ、散った。 そうして彼は此処に居る。 この異端の聖杯戦争で、心優しい少女の為の英霊として現界する。 今目の前でおずおずと座っている少女は、あの勇敢な少年とは似ても似つかない。 この子は正義の味方なんて柄ではないし、聖杯戦争にどう向き合うかもたっぷり悩んで決めた。 その向き合い方も、全く違う。この子は、聖杯戦争自体をどうにかしようとは思っていない。 ただ、帰りたいだけ。自分の生まれた時代、過ごした世界、開けた未来に帰りたい。 それだけを願っている。小説の主人公としては、少しエンターテイメント性が足りないか。 文香は、自分の座るテーブルの脇に平積みになった本にふと目を向けた。 バーサーカーに気付かれないよう、内の一冊を手に取る。 再び棚の整理に戻った彼がこちらに注意を向けていないことを確認し、頁を捲った。 何しろ有名な小説だ。 文学に造詣の深い文香は、当然その本を読んだことがあった。 有名なだけに衝撃的なストーリーだったから、今でもよく内容は覚えている。 ―――かつて、一人の男が居た。男は紳士であり、悪鬼でもあった。 賢明で善良な人々の元で育ち、将来の健勝も保証されていた彼は、しかしある病的な一面の持ち主だった。 人間ならば誰しもが持つ享楽性と浅ましい欲望を、狂的と称されるほどに恥じていたのだ、彼は。 やがて彼は真理を確信する。善と悪。人間とは単一の性質から成るのではなく、二元的であると。 真理に到達した彼は、人の有する善悪の要素を分離させようと躍起になった。 彼が道具として選んだのは科学。科学をメスに、狂気の実験に手を伸ばした。 だが、その結果は大失敗。 男の中には彼が忌み嫌った『悪』そのものとでもいうべきおぞましい人格が生まれ、彼は徐々に、自らの生み出した『悪』に体も心も侵食されていく。 ……哀れな男の最期は――そう、確か、錯乱の末の自滅。服毒自殺。 「ヘンリー・ジキル」 誰にも聞こえないよう、文香は彼の真名を唱える。 もしも彼が、小説の中のヘンリー・ジキル博士そのものならば。 彼もまた、その体の中に悪魔を飼っているのだろうか。 ……或いはそれこそが、彼がバーサーカーとして召喚された理由なのかもしれない。 ヘンリー・ジキルは理性的で聡明な男だ。 正義感の強い彼は、サーヴァントとしてもほとんど無力に等しい存在である。 彼が本当にヘンリー・ジキルならば、……やはり居ない筈はないだろうと文香は思う。 善と誠実を憎み、悪逆をこそ愛する別人格。 一人の人間を壮絶な自殺にまで追い込んだ、悪の化身ともいうべきあの狂気(ケモノ)が。 文香はそこまで考えて、数頁ほど捲った本をそっと元に戻した。 表紙には、彼女を導くサーヴァントの真名。 『ジキル博士とハイド氏』―――彼らこそが、文香の運命を握るバーサーカー。 【クラス】 バーサーカー 【真名】 ヘンリー・ジキル&ハイド@Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ 【ステータス】 筋力B+ 耐久B+ 敏捷C 魔力D 幸運D 宝具C 【属性】 秩序・善/混沌・悪 【クラススキル】 狂化:? ランク不明。 ジキル時には機能していない。 【保有スキル】 変化:B 肉体変化。 自己改造スキルと相俟って、彼の肉体はより強靭に、強大に変化する。 自己改造:A 自身の肉体に、まったく別の肉体を付属・融合させる適性。 このランクが上がればあがる程、正純の英雄から遠ざかっていく。 怪力:A 一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。 使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。 無力の殻:B 精神と肉体がジキルの状態である間は能力値が低下し、サーヴァントとして感知され難くなる。 無力の殻を被ることで、内に眠る怪物は自らの存在を他者に勘付かせない。 【宝具】 『密やかなる罪の遊戯(デンジャラス・ゲーム)』 ランク:C+ 種別:対人宝具 ジキルから反英雄ハイドへと変化する霊薬。 幾つかのスキルを付与し、獣化とも言える変貌を遂げさせる。 特に高い耐久力をもたらす高ランクの「狂化」と、自分の肉体を状況に応じて最適な形態に変化させる「自己改造」によって、驚異的な生命力を発揮することが可能となる。この宝具を使用しないとサーヴァントとしては無力に近い。 服用には何らかの副作用(リスク)が存在する模様。 名前の由来は、ミュージカル版『ジキル博士とハイド氏』で演奏される曲名の一つ。 【weapon】 牙、爪 【人物背景】 整った顔立ちと翠色の瞳を持つ落ち着いた風貌の青年。 外見は小説におけるジキル博士よりは若く、高校生の巽よりはいくらか上といった程度。 「バーサーカー」という呼称が似合わない穏やかな雰囲気を漂わせるが、宝具の霊薬によって文字通りの狂戦士へと変貌する。 「ハイド」に変わると、狼を思わせる外見、背中を丸めた前傾姿勢、殺意に染まった赫い瞳など、魔獣にも見える異形となり、圧倒的な破壊衝動と殺戮衝動に従って動く。 だが完全な獣でもないらしく、セイバーの見立てでは「自ら意図して正気を失っている」との事。 また理性を失ってはいるが、マスターやセイバーの気持ちに応えようとするだけの意志は残っている。 生前の自分が悪心に流され、悲劇を引き起こしたことを悔いており、今度こそは「正義の味方」でありたい、という願いを胸に召喚された。 しかし、悪の想念の一端として召喚されている自分では正義のために戦うことなど出来ないのだという諦念のようなものも抱いている。 【サーヴァントとしての願い】 マスターを脱出させる 【運用法】 無力の殻スキルによって、正体を勘付かせずに潜伏することが可能。 いざとなれば霊薬を服用して強力な力を手に入れられるが、原作のように複数のサーヴァントを一度に相手取るような真似は避けるのが賢明だろう。 【マスター】 鷺沢文香@アイドルマスター シンデレラガールズ 【マスターとしての願い】 平成に帰りたい 【人物背景】 穏やかで人付き合いの苦手な、典型的な文学少女。 しかしプロデューサーとの出会いが発端となり、彼女はきらびやかな世界に足を踏み入れることとなる。 【把握媒体】 バーサーカー(ヘンリー・ジキル&ハイド): 原作小説。 鷺沢文香: 『アイドルマスターシンデレラガールズ』及び『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』。 台詞の把握は各wikiで可能なため、把握は比較的容易。
https://w.atwiki.jp/fandri/pages/168.html
バーサーカー(火) 画像 属性 種族 型 隊列 リーダースキル ◯ ◯族 ◯◯型 ◯衛アタッカー ◯%UP ステータス レア HP 攻撃力 防御力 命中 クリ 必中 回避 クリ回避 受け流し HP成長 攻撃成長 防御成長 初期(Lv1) ★1 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 最大 ★4 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 分類 スキル名 効果 奥義 ◯◯ ◯◯ オートスキル緑 ◯◯ ◯◯ オートスキル青 ◯◯ ◯◯ オートスキル紫 ◯◯ ◯◯ オートスキル橙 ◯◯ ◯◯ 縁 効果 ◯◯ ◯◯% ◯◯ ◯◯% ◯◯ ◯◯% ◯◯ ◯◯% ◯◯ ◯◯% 入手方法 占い このユニットの評価・使用感 名前
https://w.atwiki.jp/fandri/pages/167.html
バーサーカー(水) 画像 属性 種族 型 隊列 リーダースキル ◯ ◯族 ◯◯型 ◯衛アタッカー ◯%UP ステータス レア HP 攻撃力 防御力 命中 クリ 必中 回避 クリ回避 受け流し HP成長 攻撃成長 防御成長 初期(Lv1) ★1 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 最大 ★4 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 分類 スキル名 効果 奥義 ◯◯ ◯◯ オートスキル緑 ◯◯ ◯◯ オートスキル青 ◯◯ ◯◯ オートスキル紫 ◯◯ ◯◯ オートスキル橙 ◯◯ ◯◯ 縁 効果 ◯◯ ◯◯% ◯◯ ◯◯% ◯◯ ◯◯% ◯◯ ◯◯% ◯◯ ◯◯% 入手方法 占い このユニットの評価・使用感 名前
https://w.atwiki.jp/dimensionzero/pages/1140.html
バーサーカー・ドラッグ バーサーカー・ドラッグ ストラテジー 使用コスト:緑1無1 タイミング バトル あなたはバトルスペースのスクエアにある対象の自分のユニットを1枚選び、ターン終了時まで、パワーを+4000する。ターン終了時に、あなたはそのユニットを持ち主のエネルギーゾーンにリリース状態で置く。このカードをゲームから取り除く。そうする時、このカードがプランゾーンからプレイされたならば、このカードをゲームから取り除くかわりに持ち主の手札に加える。 (フレーバーテキストなし) デメリットこそあるが、色を問わず+4000のパンプアップが可能。 序盤に展開した兎娘キューティ・バニー等に使用して、更なるエネルギー加速を狙ってみるのも良し、攻め手のユニットを強化して相手の迎撃をかわしながら押し切るも良し。 対象ユニットはターン終了時にエネルギーゾーンに送られてしまう為、相手ターンで使用する場合は後続のユニットを展開しているか、生命の門等を手札に握っている状況が望ましい。 ファースト・センチュリー エキスパンション 激戦をもたらす者の特色であるプランゾーンからプレイすると手札に加えることができ、「一枚で二度おいしい」パターンの緑バージョン。 収録セット ファースト・センチュリー エキスパンション 激戦をもたらす者(100/100 アンコモン) イラストレーター toma 関連リンク(同サイクル) 赤-復讐の連鎖、デザート・ストーム 黒-絶望の連鎖、刻まれた思い出 青-欲望の連鎖、デバッガーの悪夢 白-束縛の連鎖、ロボットの3原則 緑-食物の連鎖
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/75.html
――坂の上のお屋敷には、二人の魔女が住んでいる。 なんてことはない。丘の上の屋敷には、一人の若者が住んでいた。 月海原学園に通う高校生。 気のいい彼は、同級生や後輩の兄貴分として充実した日々を過ごしている。 ――そう、その筈だった。 何時からだろう――いや、最初からだったかもしれない。 どこか満たされない、空虚な予感が胸の中にわだかまっている。 「遠野君、放課後時間ある? 皆でカラオケ行くんだけど――」 休み時間。 隣に座った■■■から、放課後の誘いをかけられた。 肯定の返事を返して、次の授業の準備に戻る。 屋敷には自分の他に誰もいない。 別にどれだけ帰りが遅くなっても、どやす人間は――、 ――誰も、いない? そんな筈はない。あの家には■■も、■■も、■■も、■■もいた筈だ――。 ――だめだ。あたまが、くらくらする。 結局その日の授業は、まともに受けられなかった。 ◆ 夜の街を、ふらふらと歩く。 クラスと周囲の生徒を巻き込んだカラオケ大会は、予想通り日が落ちるまで続いた。 自分の住んでいる屋敷は街外れにあるので、こんな時には帰るのに大分時間がかかってしまう。 案の定、屋敷への石段に辿り着く頃には夜もとっぷりと更けてしまっていた。 凪いだ風が木々を揺らし、木の葉の揺れる音だけが響いている。 こんな雰囲気だと本当に幽霊でも出そうだなと思って、思わず笑いがこぼれた。 笑わせる――【そもそも、自分が幽霊みたいなもんじゃねぇか】―― ――? なんだ、今の思考は。 自分が幽霊って一体なんのことだ。 自分は―― ――自分? ――自分はいったい、誰だったのだ? ◆ 石段の途中で立ち止まって、しばし考える。 遠野■■とは、いったいどのような人間だった? 遠野家の長男――長男? 馬鹿を言え、あの家には自分しかいない、自分にきょうだいなんている筈が―― 【いつまで呆けてる? それは本当のお前じゃない】 ――また、頭の中で声がした。 明らかな異常事態。だというのに、その声はするりと自分の裡へ入り込んでくる。 【そうだ。俺はお前だ。今のお前の生活は偽りだ。お前には欲しいものがあっただろう?】 ――そうだ。 自分は、願いがあってこの聖■■争に参加したのだ。 ■杯を以って――■■を、取り戻すために。 【ああ、そうとも。だから――いい加減、そんなマトモな感性は捨ててしまえ。】 世界が/反転/する。 千切れた雲の切れ間からは、丸い――そう、真っ青な月が見える。 ああ。今夜はこんなにも――月が綺麗だ。 ◆ ――今夜は酷く、月が綺麗だ。 こんな場所なのに――あるいは、こんな場所だからこそか。 中天に輝く月は、ヒトを魅了する輝きに満ちている。 そんなにも月が綺麗だから、しばし見惚れてしまっていた。 ぼけっと――自分でも無防備すぎると思えるほどに、頭上の月を眺める。 少し視点を下に落とせば、山――というよりは丘か。 そしてその上に立った屋敷が一緒に視界に入る。 ――ここからあの屋敷が見えた偶然を、方舟とやらには感謝しなければならない。 あの月と屋敷のおかげで、自分は記憶(メモリー)と――その奥底にあるなんとしてでも叶えなければならない願い、そして煮えたぎるような熱を再び手に入れたのだから。 ――そう。自分にとって一番大事な記憶は、屋敷での生活だった。 勿論ここは、あの屋敷のあった街ではない。 記憶の中にある屋敷と視界の中の屋敷では、遠目にも違いは明らかだ。 それでも、あの屋敷を見る度に思い起こされる記憶が――自分がなにであるかを、改めて魂に刻みつけさせる。 そうだ。今でも昨日のことのように覚えている。 三人で屋敷の裏山を駆け回った。陣取りゲームで屋敷や裏山の東屋、小屋に名前を書いて回った。 幼き日の、兄妹、そして友人との思い出。 ――それを奪われた。 自分がそこにいた記録は消し去られ、殺され、全てを奪われて地下牢に押し込められた。 今、自分がいた場所――いるべき場所には、かつて友人だった男が座っている。 それを許せなくて、かつての友人を恨んだ。 どうしても取り戻したくて――頭の中から断片的に聞こえる声の誘いに乗った。 『ゴフェルの木片』。 聖杯戦争へと自分を導く切符。 この戦争で勝ち抜けば――願いを叶えることができる。 遠野シキを、遠野四季に戻すことができる。 ふと、右手に違和感を覚えた。灼けつくような、肉に刻まれる痛み。 それさえも、今の気分なら愉しくて仕方がない。 記憶と憎しみ、渇望を思い出した快感が、令呪を刻まれる痛みと混じってハイになってきた。 なんだか無性に笑いたくなってくる。 こみ上げてくる衝動に従って、げらげらと笑った。 とても綺麗な月。 そう――【私は、その月にこそ恋をした】。 ◆ ――ふと、後ろに気配を覚えた。 右手に刻まれた印――令呪のことを考えれば、召喚されたサーヴァントだろうか。 振り向くと、和服のようなものを着た長髪の男が立っていた。 腰には刀。一見すれば、セイバーのクラスのサーヴァントに見える。 「――悪いね、旦那。気分がよくて気付かなかったぜ」 「構わん。……お前が、私のマスターか」 馬鹿笑いしていて放置していた分、少しは愛想良く挨拶したつもりなのだが。 ――どうやら、このサーヴァント様はコミュニケーションが得意ではないらしい。 「ああそうとも、我がサーヴァントよ……ってな。 悪いが、ちょっと確認させてもらうぜ」 まあ、そんなことはどうでもいいことだ。 問題は、このサーヴァントが勝ち抜くのに必要な力を持っているか否か。 目を凝らし、目の前のサーヴァントのステータスを確認する。 ――クラスはバーサーカー。 本来なら狂化してまともに話すことさえできないクラスだが、こいつは低い狂化ランクの代わりに理性を残しているタイプらしい。 ――もっとも、それでもまともなヤツには意思疎通ができないだろうが。 そのせいか、ステータスは全体的にあまりいいとは言いがたい。 敏捷だけはトップクラスだが――、 「……あん?」 いつの間にか、目の前からバーサーカーは消えていた。 ――それと同時に、襲い来るモノがある。 「それも構わん。――だが、こちらも見せてもらおう」 ――殺気が、風と共に飛んだ。 影さえ見えない、神速の踏み込み。 気が付いた時には、既に懐まで入り込まれている――! 「……チィッ!」 振るわれた刀の一撃を、なんとかバックステップで回避する。 体の前でクロスするように、当然やって来るだろう追撃に備える――! 「……なかなか良いな。 加減したとはいえ、今の一撃を避けるマスターとは」 ――追撃は来なかった。 いきなり襲って来た自らのサーヴァントは刀を鞘に戻し、先程と同じ風に立っている。 そして、その瞳は――自らのマスターを値踏みするように細められていた。 その瞳を見て、確信する。 こいつは、自分と同じだ。 殺人行為を肯定する。自分の欲望――人斬りのために生きる。 そう。こいつは、全てが終わったら、たとえ自分のマスターだろうと躊躇わず切り捨てる――。 「――私の願いは、宴だ。この血の揺らぎを満たすような、な」 あちらも、こちらの本性を悟ったか。 ゆらりと霊体化したバーサーカーからは、しかし殺気が伝わってくる。 ――共鳴するように頭の中の声が、【全てを殺せ】と語りかける。 体の裡から湧き上がる殺戮衝動。 それに逆らわず、遠野四季――十八代目の「アカシャの蛇」は叫んだ。 「食い足りねえ――飲み足りねえ、殺り足りねえじゃねぇかッ!」 【クラス】バーサーカー 【真名】カレル@ファイアーエムブレム 烈火の剣 【属性】中立・狂 【ステータス】筋力C 耐久D 敏捷A 魔力E 幸運C 宝具EX 【クラススキル】 狂化:E 「狂戦士」のクラス特性。理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。 ただしこのバーサーカーは狂化スキルのランクが低すぎる為効果は筋力と耐久がより「痛みを知らない」状態になっただけに留まり、ステータス上昇にはなんら寄与していない。 またこのバーサーカーは平常時は言語能力を保っているが、精神汚染スキルで狂っている。 【保有スキル】 精神汚染:D(B) 身体を満たす殺戮衝動。このバーサーカーは「斬る」と「何時斬るか」「どう斬るか」以外の目線で物事を思考できない。 精神干渉系の魔術を中確率で遮断する。同ランク以上の精神汚染スキルがない人物とは正常な意思疎通を行えない。 また、このバーサーカーは戦闘時に精神汚染スキルのレベルが上昇する。 心眼(真):C 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。 本来ならば狂化で失われるが、下記のスキルによって保たれている。 無窮の武練:C ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。 心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。 本来のクラス(セイバー)ならばA+に相当するが、バーサーカーとして召喚されたことにより劣化している。 仕切り直し:C 戦闘から離脱する能力。また、不利になった戦闘を初期状態へと戻す。 バーサーカーはこれに加えて致命傷を受けても一度までは踏み止まり、そのまま戦闘から離脱できる。 必殺の一撃:A 致命打(クリティカルヒット)を狙う才能。 一定の確率で攻撃を回避不能にし、更にダメージを三倍する。 筋力ではなくあくまでダメージを三倍にするスキルであり、そもそも攻撃が通用していない・攻撃のダメージが薄い場合は相応に効果が低下する。 敵対する相手とのステータス差が大きくなればなるほど、このスキルの発動率は上昇する。 【Weapon】 『倭刀』 バーサーカーが常用する真っ赤な日本刀。 日本が存在しないエレブ大陸で、何を持って『倭刀』なのかは不明。(おそらくサカのことだと思われるが) 攻撃力自体はそこまでではないが、必殺の一撃の確率を上昇させる効果がある。 【宝具】 『剣聖(グローリー・オブ・ソードマスター)』ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:なし 最大補足:なし 彼の未来の姿である「剣聖」。それに纏わる数々の逸話そのものが宝具と化したもの。 バーサーカーは戦闘を経ることで「成長」し、そのステータスを上昇させて「剣聖」へと近づく。 成長の進行度合いは「どれだけ強い敵と戦ったか」で決まり、自分より弱い敵と戦っても経験値は少ない。 成長を続けた場合、最終的なステータスは【筋力A 耐久B 敏捷A 魔力E 幸運C】となる。 「サーヴァントでありながら戦闘を経て成長(レベルアップ)する」という規格外の宝具。 無関係な非戦闘NPCを斬っても経験値を得ることは可能だが、管理NPCに受ける警告と比べれば割に合わないレベルの上に、 バーサーカーの願いはあくまで強者と戦うことの為積極的には行わない。 また、剣魔であった頃に噂された「千本の剣を持っていて、夜な夜な笑いながらそれを研いでいる」という根も葉もない噂から、剣を千本まで取り出すことができる。 【人物背景】 「ファイアーエムブレム 封印の剣」及び「烈火の剣」の登場人物。 草原の国・サカの剣術を伝える一族に生まれる。 その一族における「剣術を継ぐ子は一子相伝、その他の者は死ぬ」という掟に従い、妹のカアラ以外の全ての家族を殺害。 その後代々受け継がれてきた一族の掟と人斬りの欲望のままに従いただ強さを求めて各地をさまよい、人を斬れるのであれば誰でもよかったと言うほどの苛烈な道を歩む。 『剣魔』の異名で恐れられており、自らの力を高めるため強者がいると聞くたびに斬って捨てるという凶行を繰り返していた。 また、名が世に広まったころには多くの弟子志願者が現れたが、すべて斬り捨てたらしい。(この頃が「烈火の剣」) 20年後の「封印の剣」では「剣聖」の二つ名で大陸全土に知れ渡っており、剣を使うもので知らぬ者はいないと言われる伝説的な存在になっている。 ただし「剣魔」の頃からは人が変わったように温厚になり、戦を嫌ってベルン帝国の奥地で隠遁生活を送っていた。 本来ならば壮年時の温和で戦いを厭う剣聖(その際のクラスはセイバーである)として召喚される筈だったが、マスターである遠野四季の気性から剣魔としての側面がバーサーカーとして召喚される。 ――また、彼は妹であるカアラと邂逅した際、彼女を斬ることができなかった。 あるいは彼が四季に呼ばれたのは、それが原因かもしれない。 【サーヴァントとしての願い】 強者との戦い。 【基本戦術、方針、運用法】 全員を殺害しての優勝を狙う。 バーサーカーではあるが、ステータス自体は低い。 無窮の武練によって保たれるその技量を生かしての戦闘が主となる。 また、宝具である「剣聖」は戦闘を経る度に経験値を得て成長する規格外の宝具。 初期ステータスこそそこまでではないが、最終的にはかなり強力なステータスとなる可能性はある。 また、使い魔や手駒を召喚するタイプの宝具やスキルを持ったサーヴァントにとっては天敵となるかもしれない。 仕切り直しと戦闘続行、マスターの特性から非常にしぶとい。 一度敗北した相手であっても、宝具によって成長すれば次の戦いでは勝てる可能性はある。 また、マスターである四季もマスターとしては結構な強さを持つため、バーサーカーがサーヴァントを牽制する間に四季が敵マスターを殺害する戦術も有効だろう。 弱点としては、大火力の攻撃手段を持たないこと。 「必殺の一撃」のスキルはあくまでダメージを三倍するスキルの為、防御力に阻まれてダメージを与えられない場合は意味がない。 一発逆転の手段がないということでもある。 ――また、このサーヴァントの願いである「強者との戦い」の対象には、マスターである四季自身も含まれている。 最後の一組となった時、バーサーカーが四季に牙を剥かない保障は何もない。 【マスター】 遠野四季@真月譚月姫(漫画版) 【参加方法】 ロアの記憶から「ゴフェルの木片」の隠し場所と、聖杯戦争についての知識を得て参加。 【マスターとしての願い】 遠野家における自分の居場所を取り戻し、遠野志貴に復讐すること。 ――ただし、彼の中のロアの願いは違う可能性がある。 【weapon】 「血刀」 四季の「自身の肉体を自在に動かす」という性質を応用し、血液を硬質化・変形させて作る武器。 【能力・技能】 18代目の死徒(吸血鬼)『アカシャの蛇』の転生体であり、遠野四季の意識とロアの意識が混在し、二重人格のような状態になっている。 混血の四季としての能力は『不死』と『共融』。 この『不死』は不死身ではなく、正確には「簡単には死なない体質」。 傷ついた肉体を再生させるのではなく、その部分が欠損しても生きていけるように肉体を作り替える『拒死性肉体』。 さらに四季の混血としての能力の究極とも言える能力に、接触融合呪詛「蝕離」がある。 「蝕離」は他人の肉体を摂取し、自身の肉体に還元する。端的に言えば臓器移植の何でもありバージョン。 この能力で、槙久に殺されかけたもののその前に志貴から命を奪っていた四季は生きながらえた。 また、彼の中に巣食うミハイル・ロア・バルダムヨォンの魔術知識を持つ。 平均的な魔術師と同等程度の魔術回路を持っており、四季の人格でもロアの扱うカバラ魔術をある程度扱えるようだ。 勿論、魔術の扱いに関してはロアの人格の方が長けていると考えられる。 作中で使っているのは電属性の魔術と一種の結界だが、結界はロアの人格でしか使用できないと考えられる。 『直死の魔眼・偽』 直死の魔眼に似て非なる「物を生かしている部分(=命)」を視覚情報として捉える魔眼に目覚めている。通称「偽直死の魔眼」。 当然、生物に対してしか力を発揮しない。代わりに脳への負荷はなく、平然と命の源である「線」を視て、生命力を消すことが出来る。 なお、「生命力を消す」ため、線・点を攻撃してから死ぬまでには若干のタイムラグが存在する。 この間に生命力を回復すると死を免れることができる。 【人物背景】 遠野秋葉の実の兄で、幼少時の遠野志貴の友人。 本当の遠野の当主は彼だった。 第18代目の「アカシャの蛇」の転生。 「アカシャの蛇」は転生術式によって存在する死徒である。 この転生術式は初代が永遠を希求するために開発したもので、自らの魂を加工、「魂の情報」が転写できるようになっている。 前世のロアが現出するにふさわしい年齢になったとき初めてロアとして覚醒し、それまでの肉体が持っていた「人間としての意識」を「ロアの意思」が奪うことでロアとなる。 遠野四季がある程度(それでもロアに影響され暴力的な人格となっているが)人格を保っているのは、遠野四季が混血であったため。 混血である四季は「人間遠野シキの意志」が「鬼・遠野シキの意志」とせめぎあうことで反転を抑制していた。 が、「転生してきたロアの意志」が絡んでしまい、「ロアの意志」で「人間シキの意識」が消されてしまったため、非常に早い段階で反転することとなってしまった。 同時に、ロアの意識も「鬼の血」に阻まれてしまい、通常の顕在化ができなくなっている。 反転したその場で衝動的に秋葉を攻撃、庇った志貴を殺害してしまう。掟に従って殺されかけるが、能力から志貴と繋がり生きながらえた。 一時的に反転が落ち着いたことで、当主の遠野槙久は息子を殺せず、幽閉に留められる。 人格が人よりに戻るまでの緊急措置であり、人に戻った後で再び志貴と入れ替わる予定だったが、長男扱いになった(自分の居場所を奪った)志貴の存在、反転シキに襲われて壊れてしまっていた琥珀の嘘で遠野家への憎悪を募らせ、8年後に槙久を殺害し脱走した。 反転したシキは反転の際に人間・遠野シキの自我がほぼ壊れてしまった状態にあったため、転生先の人格をベースにするロアの顕現が正常に行なわれていない。 ロアからは「人を殺せ」といった大雑把な方向性を示す指示がある程度。ロアが執着するアルクェイドを無視して、実妹秋葉に異常な関心を示す。 原作では四季の人格が濃い状態と、ロアの人格が四季を完全に乗っ取った状態で容姿が異なる。 が、漫画版では四季の顔にロアの服装の状態で登場した。 これは「四季がロアに乗っ取られていく最中」として扱われており、四季の人格が消滅するまでは四季とロアの二重人格のような状態になっていた。 また、原作ではロアの能力を使えない筈の四季の人格がロアの能力である魔術と偽・直死の魔眼を使用しており、ロアの人格も血刀を使用している。 以上の事情から、漫画版を出典として扱う。 【方針】 全てのマスターを殺害しての優勝。
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/40.html
街を望む高台の公園に夜桜が舞い散る。 踊るように舞う桜色の花弁の中、佇むのは白い軍服に身を包んだ若き将校だった。 軍服など時代錯誤というのならそうだろう。 何せこの男は正真正銘、過去から来た男なのだから。 男が生きた時は太正。所は帝都。 その正体は帝都の平和を守る秘密部隊、帝国華撃団隊長、大神一郎その人である。 それは、大帝国劇場の総支配人の座を米田から引き継いだ直後のことだ。 何時ものように黒子たちと共に舞台の修復を手伝いをしていた。 その一つある材木を何の気なしに手にした事を切っ掛けに、大神はこの戦いに巻き込まれた。 そう戦いだ。 聖杯戦争。英霊たちが覇を競う規格外の戦争である。 大神からしてみれば、信じがたいようなまさしく魔法のような出来事ではあるのだが。 それよりも今彼の心をつかんでいるのは高台から見下ろす風景であった。 太正を生きる彼にとってはこの街並みこそまさしく魔法の世界である。 「綺麗だな」 一つ一つの光がそこで暮らす人々の光だ。 太正では考えられぬほど町は光に満ち、夜の闇などどこにもありはしないかのようだ。 帝都の夜景も美しかったが、これはこれでまた別の味わいがある。 例え、NPCが暮らす仮初のモノだったとしても、この美しさは変わらないだろう。 「あ、あの……」 そんな大神を背後から巨大な影が覆った。 それは、いつの間に現れたのか。 慌てて振り向く大神の前に立っていたのは、緑の軍服を着た大男だった。 まず目を見張るのは2メートルを軽く超すような巨大な体躯である。 身にまとった軍服の形状からして陸軍だろうか。どこの国のモノかはわからない。 幾多もの戦場を超えてきた事の証明である顔に刻まれた一文字の大きな傷の跡。 それ以外にも幾つもの生々しい傷跡が見える。 「……あなたが俺の、マスター…………ですかね?」 だが、大男から発せられたのは自信なさげな弱弱しい声だった。 マスター。その言葉に大神はサーヴァントを率いて戦うという自らの役割を思い出した。 ならば、目の前の大男は己のサーヴァントなのだろう。 「自分は帝国海軍、大神一郎大尉だ。君は?」 「あ、自分は帝国陸軍情報3課ランデル・オーランド伍長、です。クラスは、その…………バーサーカーです」 「バーサーカー?」 バーサーカーとは理性を代償に力を得るクラスである。 だが目の前のサーヴァントにはしっかりとした理性があり意思疎通もできている。 狂化ランクが低いのかと思ったがそうでもないようだ。 「えっと……自分が狂化されるのは宝具使用中だけなので……」 「なるほど」 そういうものか、とひとまず納得する大神。 なんにせよ共に手を取り合う運命共同体なのだ、意思疎通ができるというのならそれに越したことはないだろう。 「伍長。共に戦うに当たって。先に君に言っておかなければならない事がある。これからの方針についてだ」 自らのサーヴァントに対して言っておかねばならいことがある。 大神はしっかりと真正面から相手の目を見つめる。 「俺は優勝を目指すつもりはない」 そう自らのサーヴァントに向けて宣言した。 「勿論死ぬつもりはないし生き残るために全力は尽くす。 だが、俺が戦うのは人々の笑顔を守るためだ。身勝手な理由で誰かを殺すだなんてことはできない。 中には願いを持って。決意を持って戦っている人もいるだろう。 それを止めるのが正しいのかはわからない。それでも目の前で誰かが争っているのならば俺はそれを止めたい」 サーヴァントは願いがあるからこそ召喚に応じる。 そんな相手に対して、お前の願いを叶えるつもりはないと告げるに等しい言葉をぶつける。 例えそれが理由でここで自らのサーヴァントに殺されようとも曲げることのできない、大神一郎の正義である。 「はい。俺もそれでいいと思います」 だが、意外なほどすんなりバーサーカーは頷きを返し、この方針を受け入れた。 ある程度の反発を予想してきた大神は、これには少々面を食らった。 「いいのかい? 君も何か願いがあるのだろう?」 「いいんです。その、俺も助けられる人がいるなら助けたいですから」 そう言ってバーサーカーは表情を綻ばせる。 その表情に大神は見た目にそぐわぬ、彼の心の優しさを感じ取った。 「そうか。なら、改めてよろしく頼むよ。伍長」 そう言って大神は右手を差し出し自らのサーヴァントに握手を求る。 バーサーカーは真摯な態度に僅かに驚きながらも、大きな手でその手を握り返した。 手を繋いだまま、大神は自らのサーヴァントが表情を崩して笑ていることに気付いた。 「どうした伍長?」 「いえ。すいません、大尉って俺の知ってる少尉に少し似てるなって思って」 「? そうなのか?」 「はい」 ふっと大神も笑みを返す。 信頼できる相手と出会えた幸運に感謝しながら、大神はこの場でも正義を貫くことを誓う。 【名前】 大神一郎 【出典】 サクラ大戦 【サーヴァント】 バーサーカー 【参加方法】 舞台修理中用の材木に『木片』が紛れ込んでいた 【人物背景】 士官学校を主席で卒業した海軍のエリート。 卒業後は帝都を守護する秘密部隊『帝国華撃団』の隊長として配属され、襲いくる魔の手から帝都を三度、巴里を一度を守護した歴戦の勇者である。 正義感の塊のような男で非常に熱く仁真面目な性格なのだが、女性の入浴シーンに遭遇すると体勝手に動いてしまうという奇病を患っている。 本来女性にしか動かせない霊子甲冑を起動させられるほどの非常に高い霊力を持っており、他者の霊力を同調させる触媒の能力も併せ持っている。 平時は『帝国華撃団』の世を忍ぶ仮の姿『帝国歌劇団』のモギリとして働いており、モギリに対して非常に高いプライドを持っている。 そして最終的に支配人まで上り詰めたという伝説のモギリである。 【weapon】 『神刀滅却』 所持者に人を統率し正しい方向へと導く力を授けると言い伝えられている刀。 『光刀無形』 所持者に希望と野望・野心を達成する強い力を与えるとされている刀。 【能力・技能】 宮本武蔵を祖とする二天一流・二刀流の使い手。銃撃も得意としている。 霊子甲冑に乗り込めば神話レベルの戦闘が可能となるが、霊子甲冑の持ち込みはさすがに不可能であったためこの聖杯戦争でその雄姿が日の目を見ることはない。 13人の個性が豊かすぎる少女たちを率いた統率力と、彼女たちを指揮して都合4度ほど世界を救った指揮能力は非常に高い。 非常に高い霊力を持っているため魔力補給もそれなりに潤沢である。 【願い】 正義を貫く 【基本戦術、方針、運用法】 無益な戦闘の静止、弱者の救済。 悪は容赦なく滅ぼして正義を示す。 【クラス】 バーサーカー 【真名】 ランデル・オーランド 【出典】 パンプキン・シザース 【マスター】 大神一郎 【属性】 中立・中庸 【ステータス】 筋力:B 耐久:A 敏捷:E 魔力:E 幸運:E 宝具:B 【weapon】 『ドア・ノッカー』 戦車の装甲を撃ち抜く事を目的とした単発の対戦車用超大型拳銃。 人間の扱える限界の13ミリという大口径の巨大な中折れ式のリボルバーである。 装薬量が多く一発撃つだけでも銃身が素手では触れない程過熱するため分厚い手袋の装備が必要。 装甲を確実に貫くべく零距離射撃を前提とした設計であり、有効射程は通常の拳銃よりも短く照星も付いていない特攻兵器。 歩兵が戦車に零距離まで接近するなど常識的に不可能であるため、正式採用は見送られ公式には製造されなかった銃である。 『三式装甲剥離鋏』 戦車の搭乗口をこじ開ける事を目的とした折り畳み式の巨大なハサミ。 振り回せば鈍器にもなり、鋏として敵を直接解体することも可能。 彼の物にはランデルが自ら堀った『断末魔』を意味する『マルマン・チェーダ』の文字が刻まれている。 『焼硬鋼(ブルースチール)のランタン』 901隊員が左腰部分に下げている焼硬鋼製のランタン。 灯すと蒼い鬼火が浮かび上がり、901隊員の脳内に仕込まれた冬虫夏草が反応し脳神経経路が励起する。 【クラススキル】 狂化:-(A) 最上級の狂化適性を持つが、狂化は宝具使用時にのみ適応される 【固有スキル】 なし 【宝具】 『命を無視された兵隊(ゲシュペンスト・イェーガー)』 ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 「例えその瞳を灼かれても、例えその腕をもがれても、奴等は決して歩みを止めない。 死沼へ誘う鬼火(ウィル・オー・ウィスプ)に導かれるまま、保身無き零距離射撃を敢行する」 腰に下げた焼硬鋼のランタンに蒼い鬼火を灯すことで発動する。 幾つもの戦車を破壊してきた逸話から、非生物系の乗り物に対して高い追加判定を持つ。 狂化A、勇猛A+、戦闘続行A+のスキル効果を得ることができ、ダメージを完全に無視して行動する事が可能となる。 効果は戦闘終了まで強制的に持続、途中で解除は不可能である。 【人物背景】 非人道的な人体実験によって生み出された非公式戦闘部隊『不可視の9番』の一つ。 『歩兵による戦車の打倒』を目的として編成された対戦車猟兵部隊『901ATT(Anti Tank Trooper)』の元隊員。 901ATT隊員は全員、脳改造を施されており、腰に提げたランタンに蒼い炎を燈すと一切の苦痛や恐怖を感じない殺戮兵器と化す。 停戦後は非公式部隊所属の彼が軍に復帰できるはずもなく各地を放浪していたが、アリス・L・マルヴィン少尉と出会い陸上情報部第3課、戦災復興部隊。通称『パンプキン・シザース』に所属することとなる。 帝都にある存在しないとされているスラム街、0番地区(オーランド)の生まれ。 売春婦の子で父親は不明、売春宿の売春婦達を母として育ち、彼女たちの健康管理をしていた医師を義父としている。 派閥抗争に巻き込まれ実母が死亡。父親は抗争の主犯と思しき人物と差し違える形で亡くなっている。 その後はストリートチルドレンのグループ「回転草の兄弟団(タンブル・ウィード)」の一員になり、数人の子どもたちと義兄弟として暮らしていた。 だが、病気となった義妹の薬代を得るため人買いに自らを売り、カウプラン機関の実験体となり、最終的に901ATTの隊員となった。 ランデル自身の素の性格はその外見と経歴に見合わず、温厚で虫すら殺せないような臆病者である。 その優しさゆえか、戦争であったと割り切れず、多くの人間を殺害してきたことに対する罪悪感に苦しんでいる。 【願い】 誰かの役に立ちたい。マシな自分になりたい。 【方針】 大神大尉(マスター)に従う。 通常時の性格が余りも戦闘向きでないため、戦闘は宝具の使用を前提としている。
https://w.atwiki.jp/infinityclock/pages/87.html
──人の命の重さは、平等ではないらしい。 ここにいる一人の高校生──遠野英治は、ある時、その事を実感した。 厳密にいえば、一人一人の命が平等ではないという事ではなく、一人の人間の命の量は、多数の纏まった人間の命の量には決して敵わないという事である。 つまり、たくさんの人間を救う為ならば、少数を犠牲にするのは致し方ないし、自分の命を守る為にも他者を犠牲にするのは仕方が無いという話だ。 きっと、多くの人は、それをやむを得ない事だと思うかもしれない。 ……そう、たとえば、有名なトロッコの倫理学の問題がある。 『線路を走っていたトロッコの制御が不能になった。このままでは前方で作業中だった5人が猛スピードのトロッコに避ける間もなく轢き殺されてしまう。 この時たまたまA氏は線路の分岐器のすぐ側にいた。A氏がトロッコの進路を切り替えれば5人は確実に助かる。 しかしその別路線でもB氏が1人で作業しており、5人の代わりにB氏がトロッコに轢かれて確実に死ぬ。A氏はトロッコを別路線に引き込むべきか?』 この場合、多くの人間は、トロッコを切り替え、一人の人間を能動的に殺害するという手段を「許す」らしいと聞いた。 答える人間の多くは、「何もしない」あるいは「何もできない」──つまり、「五人を見殺しにする」と答えるのだが、それでも、もし反対の行動を取る人間がいたら「許す」のだ。 しかし、平然とそのトロッコを一人の人間に向けて切り替えるような人間を見た時、そして、それを許す人間を見た時、きっと英治は全身に虫が這うような殺意を覚えるだろう。 英治はこれを考える度に全身を鳥肌が駆け巡る感覚とともに、奥歯を強く噛みしめた。 ……そいつは殺人鬼だ。 俺の──俺の大事な人間を殺した、殺人鬼だ。 ◆ 「螢子……」 英治は、かつて、最愛の女性と共に湖のほとりで撮った写真を眺めていた。 まだそこに彼女がいた時の事……。 まだ彼が純粋に笑えた日の事……。 しかし、それは遠い思い出に過ぎなかった。 「もうすぐだよ……」 世の中は、一人の命は、百人の命を守る為ならば当然犠牲になって良いものとしている。 周囲の連中は、それを当たり前だと思っている。 多数の人間が救われる為ならば、一人を犠牲にしても良い──それを日本の法律までもが「正当防衛」だの「緊急避難」だと言って、認めていると来た。 だが、そんな、尤もらしい理由をつけようが、それは殺人に違いない。 ふざけている……。 殺された一人の命には、カスども百人の命よりも大事な想いがあるのだ。 この世の誰かに奪われた彼女の命は、一口に「一人の命」などと呼び捨てるほど単純な物ではない。 彼女が持っていた喜びや、悲しみや、怒りや、愛や、やさしさを……英治は知っていた。 小泉螢子の持っていた──英治が愛した彼女の全てが、たかが何人かの為に、奪われたのだ。 「……もうすぐ、お前の為に……」 ◆ 英治と螢子は幼い頃から、寄り添うようにして育っていた。 二人とも同じように孤児であり、それからもずっと親しく、愛し合っていたのである。 やがて、二人は別々の家に引き取られる事になったが、それぞれの養父母は英治と螢子が会うのを快く思わなかった。 英治は遠野家で裕福に育ったが、螢子は小泉家でメイドのようにこき使われて、綺麗だった指をどんどん痛めていった。 そんな螢子の姿を見るのが、英治にはどうしようもなく耐えられない事だった。 螢子を不幸の中から救ってやりたかった。 何としても。 まずは、豪華客船オリエンタル号の処女航海に、一緒に行かないかと誘った。気晴らしになればと思ったのだ。 だが、結局は英治は養父母に発覚し、二人で行く事が出来ず、螢子だけがオリエンタル号に乗って遊びに行く事になった。 英治は寂しく思いながらも、螢子にツアーを楽しんでもらえればと、その姿を笑顔で見送った。 ……それが、螢子を見た最期だった。 沈没したオリエンタル号──。 不慮の事故。 満員の救命ボートに手をかけた螢子の命は、「誰かの為」に理不尽に奪われた。 誰かが螢子の手をはねのけ、螢子を広く深い海へと追いやったのだ……。 そして、螢子は、氷のように冷たくなって、英治の前に帰って来た……。 螢子一人の命を秤にかけ、奪った奴がこの世界にいる……。 その人間についてわかるのは、『S・K』というイニシャルのみだ……。 螢子を見殺しにしたオリエンタル号沈没事故の被害者たちで、『S・K』のイニシャルを持つ者は九人……。 九人もいた……。 ──螢子が死んだのに、『S・K』のイニシャルを持つ人間が、九人も生きのびていやがった……。 クソみたいな大学生。 尻の軽そうな女子高生。 死体ばかり描く気持ち悪い画家。 ワカメみたいな髪型の男。 成金のジジイと、どうせ金目的で引っ付いた成金の女。 ぱっと見は良い人そうな医者。 あからさまに性格の悪いフリーライター。 どいつもこいつも怪しい……。 どいつが螢子を殺したのだ……。 彼らの資料を見つめても、どいつもこいつも生きている価値のない人間に見えた。 こいつら百人の命が寄り集まっても、螢子一人の命の尊さに敵うとは思えなかった。 こいつらも結局、誰かを見殺しにのうのうと生きているわけだ。 あの事故で生き延びた人間は全員そうだ。誰かを蹴落としたクズに違いない。 九人の内、誰か一人が、螢子を殺した『S・K』だという。 そう。そいつは絶対に裁かれなければならない。 だが、警察は当てにならない。 法律で裁けないのだから、その人物を警察に突き出しても仕方が無いのだ。 ……つまり、英治がこの手で殺すしかない。 それでいい。 それで英治は満足するのだ。 螢子を殺してまで生き延びた人間が死んでくれれば、彼はそれでもう満足だった。 人を殺してまで生き延び、人を殺してまで誰かを救い、未だに生きている罪人を──この手で殺す。 奪われた側の人間にとって、そんなに簡単に、「カルネアデスの板」などというものを認められるわけがない。 罪なき螢子は、最後まで幸せになる事を許されなかったというのに、誰かを殺した人間が少なくとも『生きている』事を許されているというのが現実だ。 世界が敵に回ってもお前に味方すると言う口説き文句があるように、遠野は世界を犠牲にしても螢子を愛せた。 螢子は世界に犠牲にされたのなら、英治はそんな世界を許しはしない。 法律など関係はない。 螢子の命さえ守れない法律などに……。 ◆ そう、彼は、『大の為に小を犠牲にした』事が許せないのではないし、『自分の命の為に他者を犠牲にする』行為を許せないのでもない。 ──『最愛の螢子を殺し、それを正当化した理論』が許せないのだ。 それが彼の狂気の原動力だ。 助けを求めてもがいた螢子を、救命ボートから突き落とした人間……。 螢子が最後に求めた救いを、跳ねのけた最悪の奴……。 結局、九人の内、誰が螢子を殺したのかはわからなかった。 英治は、それを必死に探し、答えを求めた。 ◆ ──しかし。 そんな彼の前に現れたのは、仇を殺す以外の、もう一つの「手段」だった。 それがこの、聖杯戦争であった。 イニシャルが『S・K』の人間を殺すのではなく、くだらない願いの為に他を犠牲にしようとするカス共を殺す事で、螢子を生き返らせる事が出来る。 仇を殺すよりもずっと実になりそうなゲームだった。 何せ、仇を殺しても気が晴れるだけで螢子は帰って来ないが、このゲームに勝利すれば、螢子は生き返るのである。 ……まあ、勿論、全てが終わり、螢子が甦ったならば、仇探しをさせてもらうが、その人間を問い詰めこそすれ、殺すまでは至らないかもしれない。 「……」 どうせ敵は、英治ほど大事な願いを持っているわけでもない奴らである。 ──いや、相手が誰だろうと英治の信念は揺るがない。 螢子の為ならば、英治は螢子以外の全てを犠牲にできる。……そう、自分の命だって厭わない。 「バーサーカー……俺の命令はたった一つだ」 目の前に現れた、巨体の怪物の方に、彼は向き直した。 無口で、どこか威圧感のある恐ろしい怪物であったが、マスターである英治への殺意はないらしい。 いや、流石に英治との協力関係くらいはわかっているのだろう。 だとすれば、話が早い。 ……彼は、令呪こそ使わなかったが、この怪物に命じた。 「この俺以外のマスターとサーヴァントを──全員殺せ!!」 そして、皮肉にも──。 彼が呼び出した、この≪バーサーカー≫のサーヴァントは、本来、この後に英治が扮して、『S・K』たちを殺す為に利用する洋画の怪人と同じ名前だった。 ……バーサーカーの名は、殺人鬼ジェイソン。 彼は、頷く事もなく、自分のマスターに対してだけ、殺意も理性も抱くなく、ただ見下ろした。 ◆ 【クラス】 バーサーカー 【真名】 ジェイソン・ボーヒーズ 【パラメーター】 筋力B 耐久EX 敏捷E 魔力C 幸運C 宝具B+ 【属性】 混沌・狂 【クラススキル】 狂化:A+ 全パラメーターを2ランクアップさせるが、マスターの制御さえ不可能になる。 【保有スキル】 怪力:B 魔物、魔獣のみが持つとされる攻撃特性で、一時的に筋力を増幅させる。 一定時間筋力のランクが一つ上がり、持続時間は「怪力のランク」による。 単独行動:A+ マスター不在でも行動できる能力。 【宝具】 『13日の金曜日』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 バーサーカーの死後、マスターの魔力を消費するのと引き換えに、再び英霊として降臨する≪不死身≫の性質の宝具。 再臨後はパラメーターが上昇する可能性があるが、代わりにマスターの制御下を完全に逃れるリスクがある。 この場合、狂化スキルとは無関係に、バーサーカー自身の意思で行動する。 特に回数制限はないが、マスターの死亡後にバーサーカーが死亡した場合には、再臨する事は無い(この事はバーサーカー自身も知らない)。 『クリスタルレイク』 ランク:B+ 種別:結界宝具 レンジ:? 最大捕捉:? バーサーカーの固有結界。 自らが溺死したクリスタル湖と、その周辺の鬱蒼とした森とキャンプ場。固有結界内は霧に囲われ、結界に捉われたマスターやサーヴァントの視界も曖昧になる。 結界内では、バーサーカーの気配は完全に遮断され、低級サーヴァントではバーサーカーの存在を感知する事が出来なくなる。 ここに誘い込まれたマスター、サーヴァントは言い知れぬ不安感に襲われ、いずれかのパラメーターが1~2ランク程度下がる場合があるという。 【weapon】 『アイスホッケーマスク』 『無銘・斧』 【人物背景】 虐めによってクリスタル湖で溺れさせられた11歳の少年、ジェイソン。 彼は先天的な障害によって、顔は奇形であり、脳が小さく、それが虐めの原因だったとされる。 溺死したかに思われたが、彼は実は生きていた。 巨大な怪物の殺人鬼ジェイソンへと変わり果てて…。 何度死亡しても、落雷や超能力、サイボーグ化などによって毎度のように復活。 死亡する度に人間離れした「不死の怪物」となっていく。 これは宝具となっており、 この怪物の弱点は、母親と同じ恰好や話し方をする女性や、幼い頃の自分と重なる相手と相対すると戦意を喪失する事がある事。 また、ある伝説においては、「水が苦手」とも言われているが、彼自身は「大嫌い」なだけで致命的な弱点とはなり得ない。 【マスター】 遠野英治@金田一少年の事件簿 悲恋湖伝説殺人事件 【マスターとしての願い】 螢子の蘇生。 【weapon】 S・Kのイニシャルが刻まれたキーホルダー 螢子と撮影した写真 【能力・技能】 イニシャルがS・Kだというだけの理由で猟奇的に人を殺す事ができる。 たとえば、「死体を木の上に乗っける」(一体どうやったんだ…)、「死体を冷蔵庫に詰め込む」など。 ボートを動かす技術くらいはあるらしい。 【人物背景】 不動高校の三年生で、元生徒会長。 現在の生徒会長である七瀬美雪によると優しい先輩だったらしく、ぱっと見は感じの良い好青年。美雪と付き合っているという噂もあった。 しかし、その正体は悲恋湖リゾートで起きた連続殺人の犯人・『殺人鬼ジェイソン』である。 彼の動機は、数年前に起きたオリエンタル号沈没事故の際に、最愛の女性・小泉螢子を満員の救命ボートから突き落とした人間への復讐だった。 ボートに乗っていた他の人間を助ける為の正当防衛とはいえ、螢子の命を奪った人間を結果的に殺したその人物を遠野は許さなかったのである。 そして、螢子の命を奪った人物の手がかりは、彼女自身が教えてくれた。 彼女は、最期に、自分を突き落とした人間がバッグにつけていたキーホルダーをむしり取ったのである。 そこには、その人物のイニシャル『S・K』が刻まれていた。 だが、遠野がどれだけ探しても、イニシャル以外の情報は結局つかめなかった……。 そこで彼は考えた。 だったら全員殺せばいいのだと。 【方針】 聖杯を必ず手に入れ、螢子を蘇生させる。 その後、螢子を殺した人間を探し出す。